歯のエナメル質が溶けだす “酸蝕歯(さんしょくし)”とは?

むし歯、歯周病に次ぐ第3の疾患

人間の体の中でもっとも硬い組織は? その答えは歯です。正確には歯の表面を覆うエナメル質で、厚さ2~3mmと非常に薄い層ですが、鉄やガラスよりも硬く、ナイフでも傷をつけるのが難しいほどです。
これほど硬いエナメル質ですが、酸に弱いという弱点があります。むし歯菌が作り出す酸によってエナメル質が溶けて穴があき、そこからむし歯になることはご存じの通りです。
最近は酸性の飲食物によっても、ダメージを受けることがわかってきました。酸性の飲食物とは、炭酸飲料をはじめ、コーラ、フルーツジュース、黒酢、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ワイン、ビール、日本酒のほか、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類や酢飯、梅干し、ドレッシングなどがそうです。
こうした酸性の飲み物や食べ物も、食後30分もすると唾液のペーハーコントロールによって口腔内が中性になり、エナメル質が溶け出したとしても再石灰化(唾液中のカルシウムとリン酸によりエナメル質の結晶を新たに形成すること)されることでエナメル質は補修されます。しかし、だらだらと食べたり、飲んだりしていると、歯に酸が繰り返し触れることによって、再石灰化が追いつかずエナメル質が溶け出してしまう一方となるのです。
このような飲食物の酸によっておかされることを酸蝕症(さんしょくしょう)といい、エナメル質が溶け出した歯を酸蝕歯(さんしょくし)といいます。ある調査によると健康な歯だと思っていた人の4人に1人の割合でみつかったという報告もあり、むし歯、歯周病に次ぐ第3の疾患ともいわれています。
「冷たいものがしみる」「歯のツヤがなくなってきた」「歯が黄ばんできた(象牙質の黄色い色が透けて見えるため)」「詰め物が取れた」などに思い当たれば、酸蝕症が進んでいる可能性があります。プラークが付着していれば、むし歯にもなりやすいので、早めの受診が肝心です。治療は再石灰化を促す薬剤によってエナメル質を強化するほか、歯の表面の凹凸や隙間ができてしまった場合は詰め物によって治療します。

飲み物の種類や飲み方にも注意を

酸蝕歯にならないようにするには、酸性の飲食物を摂取するときにはできるだけ短時間ですませ、そのあとうがいをして洗い流すことです。
歯磨きは口腔内が唾液によって中和されてからがよく、飲食後30分以上経ってからにします。強い酸性にさらされるとエナメル質は軟らかくなり、歯磨きによって傷つけるおそれがあるからです。歯ブラシは柔らかめのもので軽くマッサージするようにブラッシングするとよいでしょう。
エナメル質は口腔内のph(ペーハー)が5.5以下になると溶け出すといわれており、歯に安全なpH6以上の飲み物はウーロン茶、緑茶、水道水、ミネラル水、牛乳などです。紅茶の場合はレモンティー(ph3.9)ではなく、砂糖なしのミルクティー(ph6.8)の方が歯には安心といえます。
夏場は飲み物を摂る機会も増えます。30分おきにスポーツドリンクで水分補給していた部活の生徒が、酸蝕歯になったケースもあります。エナメル質は一度、溶け出すと元に戻ることはありません。飲み物の種類や飲み方にも注意を払いたいものです。

※ph(ペーハー)は7が中性でそれ以上はアルカリ性、それ以下は酸性を示します。

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